イベントレポート:3/1(土)NANZAN SPARK「English Pitch Arena」開催

2025年3月1日(土)、南山大学にてNANZAN SPARK「English Pitch Arena」が開催されました。
本イベントは、2023年度からスタートしたもので、昨年度は4組の学生が登壇し大変好評いただきました。

大学生を対象としたアイデアピッチコンテストで、「社会課題を解決するビジネスアイデア」を募集し、登壇者たちが「英語で」ピッチ(発表)を行います。

今年度は昨年よりもスケールアップし、多くの応募の中から選ばれた8組が登壇しました。協賛企業の数や観覧者も増え、さらに、優勝者には賞金50万円が贈呈されたほか、協賛企業による企業賞も多数用意されました。登壇者たちは、それぞれ個性あふれるピッチを披露しました。

​​学び舎momは、南山大学のアントレプレナーシップ教育プログラム「NANZAN SPARK」の企画運営、協賛企業としても参画しています。

今回は、南山大学OBでアナウンサーとして、さまざまなメディアで活躍されてきた平野 裕加里 氏が司会を務めて下さいました。

発表テーマ一覧

・世界の買い物弱者を救う空き家を使った新しい食料アクセス網
・障がい者の運動不足を解消するサービス
・食品ロス削減と節約を両立させ、AIを活用し持続可能な未来を創るアプリ
・全く新しいシェアハウスで繋ぐ、単身高齢者と養護施設出身の若者達
・”Metalexis”, an alert system to cope against misunderstandings in social platform
・大学生・大人のいつでも通える居場所づくり
・ホームステイならぬホームトラベルで地方創生
・在日外国人と近隣住民がお互いを「知り合う」グローカル弁当

南山大学らしく、「グローバルに」人間の尊厳のためにを視点を入れた「社会課題」の解決策・ビジネスアイデアを考える、地球規模の私たちの貢献というこの取り組み。
登壇する学生は、南山出身のOB・OG(中野晋太郎さん、平野裕加里さん、勝目麻希さん、金丸良さん、田中利直さん、菅沼美久さん、田中悠太郎さん、そして弊社代表矢上)からメンタリングを前日まで受けて、アイデアをブラッシュアップしてきました。

はじめに、南山大学 国際センター事務室長/大澤 優隆 氏より開会のご挨拶を頂きました。

南山大学の理念である「人間の尊厳のために」を具体化するための取り組みとして、世界が直面する社会課題の解決を追求する人材を育成するというNANZAN SPARKと今回の英語ピッチコンテストの主旨の説明がありました。
この場に登壇する皆さんは、すでにイノベーターであり、場を楽しんでアイデアを届けてほしいというエールが送られました。
司会者の平野氏からも登壇者の緊張をほぐすコメントをいただき幕をあけました。

今回のコンテストには、8組が登壇し、英語でのプレゼンテーションを行います。
1組に与えられた時間は6分間。1分間の延長が認められますが、それを過ぎると強制終了となりますので、時間配分の工夫が求められます。プレゼンテーションの後は、4名の審査員との質疑応答がありますが、質問はすべて英語でなされます。

チーム名:Team ReNest

テーマ :世界の買い物弱者を救う空き家を使った新しい食料アクセス網

空き家を利用し、えどくらやしき KURAYASHIKIを設置して農家、スーパー、食料保存を1か所に集約したサービスの提案。

チーム名:FitWith

テーマ :障がい者の運動不足を解消するサービス

障害者がドクターストップなどを理由に一般のスポーツジムなどを利用できない点に着目し、理学療法士などの専門家に監修してもらい安心して自宅で気軽に運動ができるアプリの開発を提案。

チーム名:G1

テーマ :食品ロス削減と節約を両立させ、AIを活用し持続可能な未来を創るアプリ

フードロスの悲しい現状から、地球温暖化などの地球規模の問題を見据え、食糧難に悩む人々の助けにもなるよう相互問題の解決を視野にいれたアプリの提案。

チーム名:SKK

テーマ :全く新しいシェアハウスで繋ぐ、単身高齢者と養護施設出身の若者達

孤独に向き合う高齢者や留学生、養護施設出身の若者たちをつなぐ場所。皆が自分の家と呼べる場所の提案。

チーム名:MetaLexis

テーマ : An alert system to cope against misunderstandings in social platform

日本人でも誤解があり、正しい使い方に迷う敬語を「言語」の一種ととらえ、文法や正しい用例を学ぶための学習をサポートするサービス開発の提案。

チーム名:こたつラウンジ

テーマ :大学生・大人のいつでも通える居場所づくり

近年の社会問題となっている「孤独感」の解決に貢献するため、こたつを囲んで人々が国籍・年齢・性別を問わずに集まりつながることのできる居場所を提供するサービス。

チーム名:DIA

テーマ :ホームステイならぬホームトラベルで地方創生

日本の観光地で顕著になりつつあるオーバーツーリズムと過疎化に悩む地方の問題の両方を解決するための、外国人観光客に向けた、日本の田舎のおもてなしを楽しんでもらう新しい形の旅行プランを提案するサービス

チーム名:Glocal Kitchen

テーマ :在日外国人と近隣住民がお互いを「知り合う」グローカル弁当

食を通じて留学生と近隣住民の日本人との交流を深め、多くの外国人留学生が感じている「孤独感」を解消することを目的とした「ローカル弁当」の開発

今回は前年を上回る応募があり、どのアイデアも身近な体験から着想を得たオリジナルなものでした。発表では、ただ原稿を読むだけでなく、「孫」と「祖母」の対話形式で進めるものや、オーディエンスにフレンドリーに語りかけるものなど、工夫を凝らした元気なプレゼンテーションが展開されました。さらに、発表前に専門家のアドバイスを受けたこともあり、学生とは思えないほど完成度の高いプレゼンテーションが披露されました。

全グループのピッチの終了後は、審査員が別室に移動して審査の協議に入ります。その間にスポンサータイムとして、今回の協賛企業様である株式会社経営共創基盤 マネジャーで一般社団法人 VENTURE FOR JAPAN 理事の的場大楽 氏より、同社が展開している地方企業と若い世代をつなぐプログラムの紹介がありました。

スポンサータイムの後は、審査員を代表して、株式会社経営共創基盤の共同経営者 豊田康一郎氏より、今回のピッチコンテストの総括として感想をいただきました。

試行錯誤の努力の結果であるピッチの完成度の高さと、専門家の質疑応答で堂々と受け答えされていた登壇者の方に感銘を受けられていたようでした。

自分自身以外にも他者の課題を認識したビジネスプラン、特に今回は「孤独」をテーマにしたものが複数あり、登壇者の共感力が評価されていました。英語力自体は審査の対象ではなく、質問の回答は日本語でも可でしたが、多くの学生さんたちが、質問に対して英語で積極的に回答していた姿も印象的でした。
またそれぞれのチーム名にも工夫が凝らされていて、個性豊かに表現する姿に観覧者の感情もうごかされました。

そして、いよいよ審査結果の発表と表彰になります。複数の賞を受賞したチームもありました。

三菱銀行UFJ銀行賞  SKKさん

Global Women Founders賞  こたつラウンジさん

大和グラビヤ賞   SKKさん

新生紙パルプ商事賞  G1さん

あいち銀行賞  DIAさん

日本ウィメンリーダー協会賞   Team ReNestさん

協会の理事を務める学び舎mom代表の矢上清乃より授与されました。

名古屋銀行賞  Glocal Kitchenさん

ICC・ビジネス留学IBP賞   MetaLexis さん

SPARK賞 DIA さん

NANZAN SPARK最優秀賞・経営共創基盤賞 FITWithさん 

そして第1位のNANZAN SPARK最優秀賞・経営共創基盤賞にはFITWith代表の総合政策学科1年の小代笑菜さんが選出され、今度の活動支援金として賞金が贈呈されました。

締めくくりとして、南山大学 グローバル化推進担当副学長/山岸敬和先生より閉会の挨拶がありました。

学生の成長を見守る中で、緊張しながらも立派に登壇し、審査員の鋭い質問にも堂々と応答する姿や、教室が満員になるほど多くの方にご来場いただき、皆が発表に引き込まれる様子、中学生を含め真剣に聞き入る姿を目の当たりにし、胸が熱くなったとお話されていました。

キサラ学長は南山大学の方針
‘3Ds‘=Dignity(人間の尊厳)Diversity (多様性) Dialogue(対話の場づくりと実践)

これらを社会に出て学ぼうと推奨しており、ここ最近の国際社会でこれらは縮小されている今こそ、これを大切におもっている若者が社会にでてネジを巻き戻そう!と力強いメッセージを頂きました。

また、すべての登壇者の方への賞賛のメッセージ、そしてこのコンテスト開催にあたり、影で多大なご尽力をされているスタッフの方への感謝の言葉を述べられました。

コンテスト後は、学内の国際交流ルームStellaへ場所を移して、交流・ネットワーキングの時間が設けられ、有意義な時間となりました。ピッチの時間内にはできなかった質問を登壇者にする一般参加者の姿も見られました。

~学び舎mom スタッフの感想~

今回は2回目の開催となりましたが、前年度よりも参加者と協賛企業がともに増え、賞の内容がグレードアップしました。このコンテストの知名度が上がっていることを感じ嬉しく思います。最近の日本の若い世代は、海外に目を向けることが減り、内向きになってきているということをよく耳にしますが、意欲ある学生の素晴らしいプレゼンテーションを拝聴して、将来への希望の光を垣間見ることができました。今回賞を受賞された方々のその後の活動について、ぜひお聞きする機会があればと思います。

去年に引き続き、学生さんらしい視点で実体験から課題をみつけ、解決に向けて幅広い視点で向き合う姿や、AIを駆使した思考、他人をおもいやる気持ち、グローバル視点、様々なバックグラウンドからの課題解決にむけた着眼点など、とても興味深い内容ばかりで日本の未来が楽しみになりました。また学生たちの言語力や表現力などにも大変驚かされました。是非実現にむけてその後の活動の様子なども引き続きお聞きしたいなと思いました。